キンメダイはどういう魚?
キンメダイは、魚体が明るい赤色で、大きな目玉が印象的な深海魚。
名前に「タイ(鯛)」とありますが、キンメダイ目キンメダイ科に属する深海魚であり、スズキ目タイ科に属する鯛ではありません。
体長は成魚で30〜50cm程ですが、大きいものだと60cm以上になることもあります。
温かな海域を好むため、太平洋やインド洋の温帯域から熱帯域に生息していることが多いです。
日本では、北海道釧路以南の太平洋側の温暖な海に多く、新潟県以南の日本海側でも漁獲されます。
ただし、深海魚なので漁獲量は多くなく、価格は少し高め。
キンメダイは癖がなく、煮ても焼いても、刺身で食べても、上質な脂によってとろりとした食感です。
加熱しても硬くなりにくいため、唐揚げやフライもおすすめ。
キンメダイの旬はいつ?
キンメダイは年間を通じてさまざまな産地で水揚げされます。
産地によって多少の違いはあるものの、脂がのっておいしくなる旬の時期は次の2回あります。
12~2月
水温が低くなる時期に向けてたっぷりと栄養を取った冬が1回目の旬です。
脂と旨みが増して、身は肉厚になります。
5~6月
キンメダイがたっぷり栄養を貯め込む産卵前の5〜6月が2回目の旬です。
この時期のキンメダイは甘味が強く、身がふっくらしています。
産卵期になると味が落ちるため、夏前に食べるのがおすすめ。
キンメダイの産地
全国でもキンメダイの漁獲量が多いのは、静岡県、高知県、千葉県の3県。
深海魚であるキンメダイは通常、遠方の海で獲れますが、この3県は近くに好漁場があり、漁が終わるとその日のうちに流通させられる「日戻り漁」ができるのが大きな強みです。
ここでは、キンメダイの産地ごとの特徴と、旬の時期について見ていきましょう。
静岡県
国内有数の水揚げ量を誇る下田港をはじめ、伊豆東海岸、伊豆諸島、御前崎沖で漁獲されます。
旬は12~2月で、釣り針のついた多くの枝縄を持つ幹縄を海中に下ろして釣る「立縄釣り(たてなわづり)」で漁が行われます。
また、地域別に3つのブランドがあり、鮮度にこだわった「須崎の日戻り金目鯛」、お祝いの席で用いられる「稲取キンメ」、厚みがあって脂ののった「伊東の地きんめ」と、それぞれ異なる個性を持ちます。
高知県
高知県の東部の室戸沖は、「ユネスコ世界ジオパーク」にも認定された急峻な海底地形になっています。
そのため、沿岸近くでも水深が深いことから、深海に生息するキンメダイを漁獲することができます。
高知県では、釣り竿で1匹ずつ釣り上げる1本釣りで漁が行われており、キンメダイの魚体に傷がつきにくいという特徴があります。
旬は産卵前の7〜9月。
大きく育った魚体に脂がのり、しっとりとした身がさまざまな料理によく合います。
千葉県
銚子沖漁場、勝浦沖漁場、東京湾口漁場の3ヵ所がキンメダイの漁場。
中には「銚子つりきんめ」「外房つりきんめ鯛」といったブランド水産物に認定されたものもあります。
資源管理はそれぞれの漁場が行っており、小さい魚は逃がす、禁漁期間を決めるといった工夫をしてキンメダイの量を維持しています。
キンメダイは栄養価が高い!
キンメダイは、筋肉や肌、髪などを作るのに欠かせない良質なたんぱく質のほか、脳の働きを活発化するといわれるDHA、血流を良くして動脈硬化を防ぐ作用が期待できるEPAといった良質な脂質が豊富です。
また、骨や歯の健康を維持するマグネシウムやリン、ビタミンD、むくみ予防におすすめのカリウムのほか、老化や動脈硬化を予防する抗酸化作用のあるビタミンEなど、健康維持に大きな効果を発揮する栄養素がたっぷり含まれます。
キンメダイのおいしい食べ方
キンメダイの身には脂肪分が多く、ぷりっとした口当たりとほんのり甘い味わいが特徴。
加熱しても食感が損なわれないため、さまざまな調理方法が考えられます。
キンメダイのおすすめの食べ方は、次の3つです。
煮付け
キンメダイ料理の王道といえば煮付け。
煮汁にたっぷり旨みが出るので、ご飯にかけて食べるのもおすすめです。
ただし、アクはこまめにすくって取りましょう。
刺身
新鮮なキンメダイが手に入ったら、生のまま味わうのが◎。
皮の部分に旨みがたっぷり含まれているため、三枚におろしてから皮に熱湯をかけて湯引きする方法がおすすめです。
皮が縮んだのを確認したら、すぐに氷水で冷やしてください。
塩焼き
シンプルな塩焼きは、キンメダイの旨みを堪能できる食べ方です。
火が通りやすいよう皮に切れ目を入れ、魚焼きグリルでじっくり焼いてください。
皮はパリッと、身はふわっと焼き上がります。
各産地の旬に新鮮なキンメダイを味わおう
キンメダイは年に2回旬があり、産地によっても少しずつ時期が異なります。
旬時期は脂がたっぷりのった豊かな風味が楽しめますので、お祝い事があるときは、食卓を華やかに彩るキンメダイを味わってください。
キンメダイの魅力を存分に楽しむためには、産地直送の新鮮なものを選ぶことも重要です。
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