ブランド鶏肉とはどういうもの?
日本で流通している食肉用の鶏肉は、「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」の3つに大別されます。
ブランド鶏肉とは、食肉用の鶏肉のうち、産地や生産者が独自の基準を設けてブランドとして販売している鶏肉のこと。
日本全国でさまざまなブランドの鶏肉が展開されています。
食肉用鶏肉のうち、「ブロイラー」は短期出荷を目的として大量飼育されている鶏の総称で、スーパーで見かける食用鶏の大半はブロイラーです。
通常の鶏が80日以上の飼育期間を経て出荷されるのに対し、ブロイラーは飼育日数が50〜60日と短く、より早く、大きく育てるためにエサの量などが調整されています。
一方、ブランド鶏肉は、一般的なブロイラーよりも飼料や環境に工夫をした銘柄鶏、飼育方法が日本農林規格(JAS)で定められている地鶏の中から選定されています。
ここからは、銘柄鶏と地鶏について詳しく見ていきましょう。
銘柄鶏:飼育方法や餌を工夫して育てられた鶏
銘柄鶏は、ブロイラーより飼育期間を長めに取り、飼育方法やエサを工夫して育てた鶏です。
生産者の工夫によって銘柄ごとにさまざまな特徴があり、共通する規定はありません。
鶏の色によって「白系」と「赤系」に大別され、白系では鳥取県の「大山どり(だいせんどり)」や、徳島県の「地養鳥(じようどり)」が知られています。
ブロイラーより値は張りますが、地鶏に比べれば安価で手に取りやすい価格であることが多いでしょう。
地鶏:厳しい規格で育てられた高級鶏肉
地鶏とは、日本農林規格(JAS)で下記のように定められています。
地鶏肉の規格
- 在来種(※1)由来の血液百分率が50%以上で出生証明ができるもの
- 75日以上の飼育期間
- 28日齢以降、平飼い(※2)
- 28日齢以降、1平方メートルあたり10羽以下の飼育密度
※1 在来種:明治時代までに国内で成立、もしくは導入されて定着した、会津地鶏や伊勢地鶏など特定の鶏の品種。
※2 平飼い:鶏舎内、または屋外で、鶏が床面・地面を自由に運動できるようにして飼育する方法。
地鶏は規格が厳しい分、生産量に限界があり、一般的に高値で販売されています。
日本三大ブランド鶏と、その特徴
地鶏の中でも、秀でたおいしさがあるとして知られているのが「名古屋コーチン」「比内(ひない)地鶏」「さつま地鶏」です。
この3種類は「日本三大地鶏」「日本三大美味鶏」といわれ、高い人気を誇ります。
それぞれの特徴をご紹介します。
名古屋コーチン
名古屋コーチンは、全国の鶏の中でも特に知名度が高く、「地鶏の王様」ともいわれる鶏。
明治時代半ばに、在来の地鶏と中国から輸入された「バフコ-チン」を交配して生まれました。
昭和30年代まで日本の養鶏を率いた鶏でもありますが、経済性に優れた鶏が外国から輸入されたことで、一時は飼育数が激減。昭和50年代後半から、再び需要が高まってきた歴史があります。
地鶏の平均的な飼育期間が75日以上であるのに対して、名古屋コーチンは120~150日。
その分、運動量が多いので肉がよく締まっていて歯応えがあり、コクのある味わいが楽しめます。
本場名古屋では、新鮮な名古屋コーチンを使った鳥刺しやコーチン鍋が有名。
自宅で調理するなら、焼き鳥や鍋物のほか、親子丼なども◎。
比内地鶏
秋田のブランド鶏である比内地鶏は、全国の数ある地鶏、および銘柄鶏の中でも、特に味と品質が高く評価されている鶏です。
秋田県では、比内地鶏ブランド認証制度を設けており、「秋田比内鶏(オス)とロードアイランドレッド種(メス)の交配で生まれた鶏だけ」、飼育期間は「メスが150日間以上、オスが100日間以上」など、地鶏の規格よりも厳しい生産・管理基準が求められています。
なお、比内地鶏と混同されることが多い「比内鶏」は、比内地鶏の祖先。絶滅の危機に瀕したことから1942年に天然記念物に指定され、現在は観賞用として主に秋田県北部で飼育されています。
食肉用の比内地鶏は、キジやヤマドリに似た濃厚さが特徴で、脂肪分は少なめ。
煮ても焼いても、鍋物にしても、スープをとってもおいしい万能の鶏肉です。
噛むほどに独特の風味が口の中に広がり、秋田名物のきりたんぽ鍋には欠かせない食材。
塩、コショウを振って魚焼きグリルで焼き色がつくまで焼き、鶏の脂が絡んだジューシーな肉を、香ばしい香りとともに食べるのもおすすめです。
さつま地鶏
さつま地鶏は、天然記念物でもある「薩摩鶏」をルーツとする地鶏。
鹿児島県では、さつま地鶏に「さつま若しゃも」「黒さつま鶏」を加えた3種類を「かごしま地鶏」として、畜産試験場で改良を続けています。
さつま地鶏は、薩摩鶏の雄とロードアイランドレッド種の雌から生まれた第1世代を起源として、交配と選別を繰り返し、10年の歳月をかけて生まれた品種。
かごしま地鶏の集大成として知識と技術が注がれ、2005年度「地鶏・銘柄鶏食味コンテスト」ではグランプリを受賞しました。
さつま地鶏も120〜150日と時間をかけて育てられています。
長い飼育期間中によく運動した鶏の身は引き締まり、適度な歯応えが楽しめます。
脂肪分が少なく赤身が多いため、ヘルシーなのもうれしいポイント。
鹿児島ではソウルフードである「鶏刺し」として食卓に上がるほか、大根やごぼう、にんじん、里芋などといっしょに煮込む「鶏の煮付け」、大根やごぼうとぶつ切りにしたさつま地鶏を煮て味噌で仕上げた「さつま汁」が代表的です。
鶏肉に含まれる栄養素
おいしいだけでなく、栄養たっぷりで健康維持に役立つのも鶏肉の魅力。主な栄養素を紹介します。
重要なエネルギー源「脂質」
低脂質・低カロリーといったイメージがある鶏肉ですが、部位によっては脂質が多く含まれています。
脂質は体にとって重要なエネルギー源。
たんぱく質や糖質の約2倍のエネルギーを作り出すといわれており、効率良くエネルギーを得ることができます。
また、皮下脂肪として臓器を守ったり、寒さから体を守ったりする働きもあるなど、生きるために欠かせない栄養素です。
ただし、とりすぎると肥満や内臓脂肪蓄積の原因になるため、適度に摂取することが重要。
脂質を控えたい場合は、鶏皮や鶏もも肉を避け、ささみや鶏むね肉を食べるようにしましょう。
筋肉や皮膚などを構成する「たんぱく質」
たんぱく質は、筋肉や皮膚、髪、爪などの組織を構成する要素であり、ホルモンや免疫物質を作る材料にもなる栄養素。
鶏肉には、体内で合成できない必須アミノ酸を多く含む良質なたんぱく質が含まれているため、健康にも美容にも有用といえます。
目や皮膚を健康に保ち、代謝を活発にする「ビタミン群」
部位によっても異なりますが、鶏肉はたんぱく質の代謝に必要なビタミンAやビタミンB群などが含まれています。
ビタミンAは、目や皮膚をすこやかに保つ働きがあるほか、ビタミンB群はエネルギー代謝のサポートや、疲労回復にも期待できます。
生産者がこだわって育てた、各地のブランド鶏肉を味わおう
全国にあるブランド鶏肉は、それぞれ肉質や味、香りなどが異なり、独自の味わいを持っています。
いつも買っているスーパーの鶏とは違う味わいを楽しんでみるのもいいでしょう。
めいぶつチョイスでは、各地の生産者が育てたブランド鶏肉を産地直送でお届けしています。
精肉だけでなく、ローストチキンやスモークチキンなど加工された鶏肉商品もそろっていますので、ぜひチェックしてみてください!
こだわりのブランド鶏肉を産地直送でお届け!