日本のワインが盛り上がりつつある現状
ボジョレー・ヌーボーに象徴されるバブル期の潮流、1995年の「A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」にて日本人で初めて優勝した田崎真也さんへの注目度、ワインの健康効果が広く知られるようになったときなど、日本ではかつて複数回にわたってワインブームがありました。
その影響を受けたのが、日本ワインの醸造家たちです。
海外勢に押され続けていた日本のワインづくりは、少しずつ、しかし確実に進化を遂げ、現在では国際的にも高い評価を受けるようになりました。
ワイナリーの数が増えて技術のシェアが進んだり、機械設備の導入コストが抑えられるようになったりしたことで、以前より価格が手頃になったことも日本ワインの普及を後押ししています。
国税庁が公表した「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和5年アンケート)」によれば、全国にあるワイナリーは、2022年12月末現在で468軒。
ワイナリーの数は今も増え続けており、まさに日本ワインの夜明け前といった様相を呈しています。
日本ワインの定義
日本ワインへの期待が高まっている状況を受け、2015年に国際的なルールを踏まえた製法品質表示基準が導入されました。
それまで曖昧だった「日本ワイン」の定義が明確になり、ワインのラベル表示も厳格化されています。
日本国内で製造されているワインはすべて「国内製造ワイン」といわれ、その中に「日本ワイン」というカテゴリーがあります。
日本ワイン、国内製造ワインの定義
日本ワインとは、日本国内で栽培されたブドウだけを使って、日本国内で製造されたワインのことをいいます。
一方、日本ワインといわない国内製造ワインは、輸入したブドウ果汁やバルクワイン(原料ワイン)を使って国内で製造したワインです。
一定の生産基準を満たしたブランドワインの証「GI」
日本ワインを醸造するワイナリーは全国に広がり、北は北海道から南は九州まで、さまざまな地域で地元の気候風土を活かしたワインが作られるようになりました。
中でも、定められた品質基準を満たした一部の日本ワインは「地理的表示(GI)」の使用が認められ、産地固有の特性を持つブランド品として高い評価を得ています。
国内でGIに指定されているのは「北海道」「山形県」「山梨県」「長野県」「大阪府」の5道府県で、これらの地名を名乗ることができるのは各GIの生産基準に適合したワインのみです。
例えば、長野県で収穫されたブドウを使い、長野県内で醸造された日本ワインであっても、品質基準を満たさなければ「長野」を表示に用いることはできません。
そのため、一定の品質を担保した産地のブランドワインを購入したいときは、GIに注目することをおすすめします。
日本ワインに使われる代表的なブドウの品種
日本ワインの原料として使用されているブドウにはさまざまな種類がありますが、代表的なのは国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が認可した品種である「甲州」「マスカット・ベーリーA」「山幸」です。
ここでは、この3品種の特徴をご紹介します。
甲州
白ワインに使われる甲州は、完全なワイン用ではなく食用としても昔から親しまれているブドウです。
甲州から造られるワインは爽やかな辛口で、アルコール度数は控えめ。
フランスのブドウを使った白ワインにレモンやライムを感じるように、甲州で造られたワインからは柚子など、日本の柑橘のフレッシュな風味が感じられます。
個性がありながらも主張しすぎない味わいなので、野菜や魚の素材そのものの繊細な味を引き立たせた和食に合わせるのがおすすめです。
ちなみに、甲州の完熟した果皮は薄い藤紫色をしており、赤ワインを醸造するときのように皮をいっしょに発酵させるとオレンジワインが出来上がります。
白ワインとはまた違う、ほのかな渋みとコクのある味わいを楽しめるので、甲州のオレンジワインを見つけたらぜひ飲んでみてください。
マスカット・ベーリーA
マスカット・ベーリーAは赤ワイン用の品種です。
ワインにしたときの最大の特徴は、いちごキャンディのような甘い香りと、日本人が昔から親しんできたぶどうジュースのようなフレーバー。
渋みは控えめで、滑らかで優しい口当たりです。
甲州で造られたワインと同じく和食に合いますが、醤油と砂糖で甘辛く煮つけた料理などとは特に相性◎。
主産地の山梨県では、郷土料理の鶏のもつ煮などとよく合わせられています。
山幸
2020年にOIV登録されたばかりの山幸(やまさち)は、北海道池田町が開発した赤ワイン用の品種。
在来品種の「清見」に山ブドウを交配したブドウです。
山ブドウの野性味を引き継いだワイルドな香りと酸味が特徴的で、非常に個性的。
地球温暖化の影響でブドウ栽培に適した気候になり、日本有数の生産地へと成長した北海道のワインづくりを牽引するブドウのひとつといえます。
フランスで鹿肉とワインを合わせるような感覚で、地元・北海道のソウルフードであるジンギスカンやエゾシカと合わせても良さそうですね。
ペアリングのポテンシャルも高く、これから注目したい品種です。
好みの日本ワインを選ぶには?
醸造家のたゆまぬ努力とブドウの品種改良、栽培技術の向上などによって、今では全国各地で特徴的な日本ワインが造られるようになりました。
初めて日本ワインを飲む方、久々にワインを飲んでみたい方の最初の一本は、ある程度の生産量がある大手ワイナリーのワインがおすすめです。
一定の流通量があるワインは、比較的リーズナブルで安定感があるからです。
ペアリングには少しこだわって、ワインといえば…なチーズやパテよりも、和食を合わせてみてください。
そのように、手堅く選んだ最初の一本が気に入ったら、次は同じブドウの品種で違う産地のもの、もしくは同じワイナリーで違うブドウの品種のものというように、少しずつ幅を広げながら自分の好みにマッチするワインを探っていくのをおすすめします。
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