【お茶の種類】日本茶と中国茶の違いとは?日本茶の特徴を紹介

お茶の種類

食事や休憩のお供に欠かせないお茶。
お茶にはさまざまな種類があり、一つひとつ香りや味わいが異なります。
いつもと違うお茶を試してみると、自分の嗜好や生活シーンに合ったお茶に出合えるかもしれません。

そこで今回は、お茶の種類や、代表的な日本茶の種類と特徴について、日本茶インストラクターの酒井知子さんに教えていただきました。

監修

酒井知子

酒井知子
日本茶インストラクター

TOMO88日本茶サロン主宰。NPO法人 日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター。日本茶専門店での勤務や茶道歴20年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学などでワークショップを開催。国内外2,000名以上に日本茶の魅力を伝えるほか、カフェなどにおける日本茶提供のアドバイス、日本茶の商品開発にも携わっている。

TOMO88日本茶サロン

お茶の種類は大きく3つに分けられる

茶葉

お茶は、種類にかかわらず原料は同じで、どれもツバキ科の植物である「チャノキ」(学名:カメリアシネンシス)から作られます。

お茶の種類を分けるのは、葉を摘んだ後の「酸化発酵」と呼ばれる過程。
酸化発酵とは、茶葉が持っている酸化酵素と酸素が結び付いて起こる発酵のことで、大きく「発酵させない」「完全に発酵させる」「半分発酵させる」の3つのパターンに分かれます。

発酵させない「不発酵茶」

摘んだ茶葉を蒸気で蒸して熱を与え、発酵をさせずに加工したのが不発酵茶。
発酵を完全に止めるため、茶葉は青々とした色と茶葉本来のフレッシュな香りを保ちます。
なお、緑茶は不発酵茶にあたります。

完全に発酵させる「発酵茶」

茶摘み後、茶葉をしおれさせてからしっかり酸化発酵を進めて加工するのが発酵茶。
紅茶が該当します。

世界では多く生産されていますが、国産紅茶の生産量はわずかしかありません。
しかし、近年になって作り手の個性が反映された国産紅茶(和紅茶)が流通するようになり、人気を博しています。

半分発酵させる「半発酵茶」

摘んだ茶葉の発酵が半分程度進んだら熱を加え、発酵を止めるのが半発酵茶です。

最もよく知られている半発酵茶といえばウーロン茶。
日本でも多くの生産者が台湾などで学び、国産ウーロン茶の製造に挑戦しています。

しかし、発酵を半ばで止めるのは非常に難しく、国産ウーロン茶はまだまだ貴重な存在です。

日本茶と中国茶の違い

中国茶

「日本茶」は日本で作られたお茶の総称で、「中国茶」は中国で作られたお茶の総称です。

中国茶には緑茶、白茶、黄茶、青茶(烏龍茶)、紅茶、黒茶がありますが、日本茶も中国茶も、チャノキから作られる点は変わりません。
ただし、チャノキの品種や加工法が違うため、同じ緑茶でも味わいは大きく異なります。

例えば、日本の緑茶は生の葉に高温の蒸気をあてて発酵を止めますが、中国の緑茶は釜で炒って発酵を止めます。
炒っている分だけ中国の緑茶は香ばしさがあり、蒸した日本の緑茶は茶葉そのものの味と香りをはっきりと感じることができます。

日本茶の種類と特徴

ここからは、日本茶の種類と特徴を見ていきましょう。

日本茶の種類別味わいチャート

日本茶の種類別味わいチャート

煎茶(せんちゃ)

煎茶

煎茶は、日本で最も生産量が多い日本茶。
煎茶は茶葉を摘み取ってから蒸す工程があり、昔ながらの製法で作られたものを「普通煎茶」と呼びます。
お茶をいれると、透明度が高くて黄色に近い色になり、上級のものほど旨みや甘味をはっきり感じることができるでしょう。

一方、「深蒸し煎茶」は煎茶の2~3倍の時間をかけて蒸したものです。
茶葉の繊維が細かくなり、短時間でもしっかり味と色が出るため、忙しい現代人向けのお茶といえるかもしれません。
関東地方では特に人気で、関東のスーパーやお茶屋さんでは主流になっています。

玉露(ぎょくろ)

玉露

新芽が伸び始める頃に20日程茶畑を覆い、日光をさえぎった中で伸びた一番茶の新芽を蒸して、揉みながら乾燥させたものが玉露。

光を遮ることで苦味や渋味を抑えられ、うま味成分のテアニンが多く含まれるのが特徴です。
高級茶として知られ、50~60℃のお湯でじっくりいれてうま味を引き出します。

なお、玉露を飲んだ後の茶殻もおいしく食べられます。

碾茶(てんちゃ)/抹茶

碾茶

遮光した中で伸びた新芽を摘んで蒸すまでは玉露と同じですが、揉まずに乾燥させたものが碾茶です。
玉露と同様に「覆い香(おおいか)」と呼ばれる青海苔のような香りがあり、渋さはあまりありません。

なお、碾茶を石臼で挽き、粉末にしたものが抹茶です。

かぶせ茶

かぶせ茶は、収穫前に1週間ほど茶畑を覆って日光をさえぎり、煎茶と同じように製茶します。

玉露より控えめな旨みと覆い香があり、煎茶と玉露の良いところを併せ持ったようなお茶といえるでしょう。
玉露のような香りをもっと気軽に楽しみたい人におすすめです。

茎茶(くきちゃ)

茎茶

茎茶は、煎茶や玉露を作る過程で選別された茎だけを使って作るお茶。
煎茶や玉露の見た目をそろえるために取り除いた部分を再利用しているので、味が良いのに価格は控えめです。

苦味・渋味が少ないため、簡単においしくいれることができます。
熱湯でいれると香りが立ち、少し冷ましたお湯でいれると旨みや甘味のあるものも。

試しに玉露を飲んでみたいという人は、より低価格な玉露の茎茶から試してみるといいでしょう。

番茶(ばんちゃ)

番茶

煎茶などを加工する際に出る、大きくて硬い葉や夏以降に摘んだ茶葉を使ったものが番茶です。
リーズナブルで、普段使いのお茶として気軽に飲むことができます。

地域ごとに個性豊かな番茶が作られているので、飲み比べてみるのも楽しいかもしれません。

ほうじ茶

ほうじ茶

茎茶や番茶を焙煎して作るのがほうじ茶です。
苦味や渋味はほぼなく、独特の香ばしい香りと味が特徴。
庶民的なお茶として親しまれています。

釜炒り茶(かまいりちゃ)

釜炒り茶は、中国の緑茶と同じように、生の茶葉を炒って酸化を止める製法で作られるお茶です。

煎茶より歴史が古く、一時は広く生産されていましたが、現在では九州地方の一部でしか生産されていません。
釜炒り茶を手に入れたら、黄金色の水色と香ばしい香りを存分に楽しんでください。

お茶は体に良い?

その昔、中国から日本に薬として伝わったといわれるお茶は、健康に良い成分をたっぷり含んでいます。
お茶の主な成分には、次のようなものがあります。

カテキン

カテキンは、お茶の渋味のもとになる成分であるポリフェノールの一種。
強い抗酸化作用があり、老化や生活習慣病の予防に期待できるほか、血中コレステロールを下げたり、口臭を予防したりする作用があるとされています。

テアニン

アミノ酸の一種で、うま味成分のテアニンは、玉露や抹茶といった高級なお茶に多く含まれているといわれます。
脳をリラックスさせて気持ちを穏やかにし、睡眠の質を向上させるほか、認知機能の低下を防ぐ働きが確認されているそうです。

カフェイン

中枢神経を活発にさせる作用があるカフェイン。
仕事中や学習中など、頭の働きを良くしたい、眠気を覚ましたい、集中力を高めたいといったときに役立ちます。

ただし、乳幼児はカフェインを体内で分解できないといわれているため、注意が必要。
成人であっても、カフェインの過剰摂取には気をつけてください。

ビタミン類

特に、カテキンと同じく抗酸化作用があるビタミンCやビタミンEの含有量が多いのが特徴。
ほかにも、三大栄養素の代謝に不可欠なビタミンB1やビタミンB2などが含まれています。

なお、脂溶性ビタミンのビタミンEは茶葉の中に含まれるため、茶葉を丸ごと利用する抹茶や粉末茶を飲むか、煎茶や玉露であれば茶殻を食べることで摂取できます。

また、お茶の種類によっても含まれる栄養素の量や種類は異なり、玉露や抹茶はテアニンとカフェインが多く、煎茶や番茶にはカテキンが多く含まれます。
また、ほうじ茶には香ばしい焙煎香のもとであり、血流改善効果が期待できるピラジンが含まれるといわれています。

ティーバッグでいれるお茶と急須でいれるお茶、味や成分は変わる?

緑茶のティーバッグ

さっとお湯を注ぐだけでお茶が飲めるティーバッグ。
含まれる成分は急須でいれて飲むお茶と変わりませんが、ティーバッグは茶葉が開きにくい分、摂取できる成分の量には差が出る可能性があります。

また、茶葉の開きにくさは味や香りの出にくさにもつながり、急須でいれたほうがスムーズに茶葉が開いてお茶本来の味が広がります。

そのため、時間がないときや、1杯だけお茶を飲みたいときはティーバッグを活用し、時間と心に余裕があるときは急須やティーポットでゆったりとお茶をいれるなど、状況に応じて使い分けることをおすすめします。

お茶をいれる“余白の時間”で生活を豊かに!

ペットボトルなどでお茶を飲む習慣のある人は多いと思いますが、お茶の種類について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

お茶農家が丹精込めて作った茶葉を使い、いつもより丁寧にいれたお茶は、種類ごとに異なる味わいを楽しめて、豊かな時間を演出してくれます。
気になるお茶がありましたら飲み比べてみていただきたいです。

生産者の思いとともに、地域の名産品を届けるめいぶつチョイスでは、こだわって作られた日本茶を生産者から直接お届けします。
お気に入りの日本茶を、ぜひ見つけてください。