メロンの旬は「初夏」
メロンは、栽培方法によって3つに大別されます。
メロンの栽培方法
- 温室メロン:ガラスの温室で栽培
- ハウスメロン:ビニールハウスで栽培
- 露地メロン:施設を使わず、トンネル状にビニールで囲んだ大地の上で栽培
温室メロンとハウスメロンは通年で栽培・出荷されていますが、露地物は4月頃から収穫が始まり、5~7月にかけて出荷量とおいしさの最盛期を迎えます。
メロンの産地は全国にあり、旬の時期は気候が温暖な九州地方から関東、東北、北海道へと北上していくため、産地や品種によっておいしい時期が少しずつ異なります。
メロンの主な産地、産地ごとの旬と主な品種
メロンは、産地ごとに工夫したさまざまな品種が栽培・出荷されています。
産地や品種を変えれば、露地物の旬を長く楽しむことができますよ。
ここからは、農林水産省の2022年のデータ(※)をもとに、メロンの出荷量の全国トップ3の産地と、それぞれの産地が旬を迎える時期をご紹介します。
さらに、各産地でとれる主な品種とその特徴についても併せて見ていきましょう。
※農林水産省「令和4年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量」
第1位 茨城県
茨城県は、メロンの一大産地であると同時に、消費量でも全国トップクラスであることで知られています。
メロンの栽培には昼夜の気温差があることと水はけの良い立地が重要な要素ですが、茨城県は条件に恵まれており、特に鉾田市、八千代市、茨城町は国内有数の出荷量を誇ります。
茨城県のメロンの旬は5~6月で、県を挙げて販売を強化。
「ハッピー・メロン・シーズン」としてさまざまな取り組みを行っているそうです。
茨城県で収穫される代表的な品種は次の3つ。
イバラキング
高級アールス系のメロンと多種多様なメロンを掛け合わせ、10年の歳月を経て誕生した茨城県のオリジナル品種であるイバラキング。
上品な甘さと香り、きめ細かな果肉で、「茨城のメロンの王様」の名に恥じないおいしさです。通常のメロンより1割程大ぶりなのも、王様らしい印象。4~10月まで、比較的長く楽しめます。
オトメ
オトメは、茨城県の大島種苗店とタキイ種苗が共同開発し、2000年に出荷が開始された品種。
春にできるメロンで、茨城県では最も出荷時期が早く、旬は4月中旬~5月中旬です。
果肉は白みがかっていてやわらかく、果汁をたっぷり含んでいます。
後に残る甘さが少なく、すっきり爽やかな風味が特徴。
アンデス
アンデスは、サカタのタネが1977年に開発したネット系青肉メロンで、今も根強い人気を誇ります。
オトメと同じく春メロンの代表格で、5月上旬~6月下旬が最もおいしい時期。コクがあり、香りが豊かです。
第2位 熊本県
熊本県も、メロン栽培に適した地理的要素、気候的要素を満たした土地です。
夏は山間部の涼しさを利用した春夏メロン、冬は海沿いの地域の温暖さを活かした秋冬メロンを栽培しているのが特徴で、生産量は全国屈指。
春夏メロンは2月中旬~6月にかけて出荷され、6月頃においしい時期を迎えます。
一方、秋冬メロンの出荷時期は11~2月で、真夏から初秋を除いて品種の異なる露地物メロンが楽しめます。
熊本県でとれる、主な品種は次の3つ。
肥後グリーン
熊本県限定のオリジナルメロンで、県外にはほぼ出ないため稀少価値が高い大玉の肥後グリーン。
濃い緑色の果肉は甘味が強く、香りが爽やかで後味はすっきりしています。
長期栽培で甘さが十分に行き渡ってから収穫するため、旬は4月下旬~6月下旬と比較的遅めです。
オレンジハート
オレンジハートは、JA熊本うき管内で栽培されている、オリジナルの赤肉メロン。
鮮やかな赤色の果肉はきめ細かな肉質で、口に入れるととろけるような食感です。
生産者はわずか2軒で、肥後グリーンに勝るとも劣らない稀少性もポイントでしょう。
糖度16度以上など、あらかじめ設定した基準を満たしたメロンだけを「オレンジハート」の名前で出荷しています。
ホームランメロン
ホームランメロンは、表面に「ネット」と呼ばれる網目がない、白肉系のメロン。果皮だけでなく果肉も白く、切ると甘い香りが広がります。
完熟すると甘味が強くなりますが、後味が残りすぎないのでさっぱりと食べられるのが特徴。
お尻の部分に少し弾力が出てきた状態が食べ頃です。
第3位 北海道
茨城県や熊本県と同様、昼夜の寒暖差が大きい北海道でもメロンが多く栽培されています。
夕張メロンで有名な夕張市は、水はけの良い土壌もメロン栽培に◎。
6月中旬から8月下旬は特に多くの品種が出回り、6月に最盛期を迎えます。
ものによっては、10月頃まで楽しめる品種も。
北海道でとれる、主な品種は次の3つ。
夕張メロン
北海道夕張市で作られる赤肉系メロンといえば夕張メロン。
赤肉メロンの代表格で、全国的に名が知られています。
夕張市にある夕張メロン生産農家のみが栽培を許可されており、審査に合格したものだけが夕張メロンと称することができます。
繊維質が少なくジューシーで、糖度は高め。雪に閉ざされている期間が長いため、出荷は5月中旬~8月までの約3ヵ月間のみです。
らいでんメロン
JAきょうわが手掛けるらいでんメロンは、審査基準をクリアしたものだけを厳選してブランド化。
赤肉種と青肉種があるのも特徴です。
肉厚で、とろけるようにやわらかな舌触りと、芳醇な香りが印象的。
6月下旬~10月末まで、比較的長く食べられます。
ふらのメロン
盆地の富良野地方は、環境を活かしたメロン栽培が盛んな土地。
ふらのメロンは、この地で作られる数種類のメロンの総称で、赤肉メロンが主体です。
果肉がしっかりしているため、購入してから数日間の追熟期間を経て食べるとベストなおいしさに。
7月頃から旬の時期に入り、出荷は8月がピークとなります。
メロンのおいしい食べ方
メロンをおいしく食べる上で押さえておきたいのが、メロンには「追熟」と呼ばれる期間があることです。
追熟とは、果樹から切り離された果実が食べ頃まで待つこと。
追熟させることで甘さややわらかさが増し、よりおいしく食べることができます。
追熟の仕方は簡単。
購入したメロンを一定期間、常温(20~25℃)で置いておくだけです。
お尻の部分がやわらかくなり、果肉を爪ではじいたときの音が高音から低音に変わったら食べ頃のサイン。
食べる2時間程前に冷蔵庫に入れ、キリッと冷やして食べましょう。
産地ごとに味わいの異なるメロンを食べ比べて楽しもう
メロンの産地は全国にあり、それぞれの産地でさまざまな特徴を持つメロンが栽培されています。
季節によって異なる産地のメロンが出荷されているため、ハウス栽培だけでなく、露地物も含めてさまざまな味を楽しみましょう。
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