ブランド豚とは?
ブランド豚とは、生産者が交配や飼育方法に特にこだわって生産した豚肉のことです。
世界的によく知られている「イベリコ豚」は、スペイン西部にあるイベリア半島原産の豚の品種で、ブランド豚の代表格。
イベリア種100%の豚、もしくはイベリコ種とデュロック種(アメリカ・ニュージャージー州原産の豚)と交配させた豚で、イベリア種の血が50%を超えているもののうち、スペイン政府から認証を受けたものがイベリコ豚といいます。
日本のブランド豚も同様に、あらかじめ定められた「品種」「飼料」「地域固有の育成環境」「飼育方法」などの要素を審査して認定されます。
ただ、「松阪牛」や「近江牛」といったブランド牛肉よりは基準が明確でなく、生産者や生産団体、業者などがそれぞれに基準を設けて独自に認定しています。
ブランド豚と銘柄豚の違い
ブランド豚と並んでよく耳にするのが銘柄豚です。
東京食肉市場銘柄豚協会は、市場の銘柄豚について一定の規格を設けています。
銘柄豚の規格(一部抜粋)
- 品質が一定で優れている
- 日本食肉格付協会の等級判定表にもとづき、脂肪や肉質、肉色、食感において質の高いものである
- 栄養バランスのとれた大麦主体の配合飼料で、適切に飼育管理されている
- 衛生予防対策が適切に確立されている
- 年間2,000頭以上を出荷し、毎週定量を市場に出荷する生産者、団体組織、組合が生産している
- 東京食肉市場で継続的に高い評価を受けた実績がある
しかし、「和牛」のように国が定めた統一的な定義はありません。
ブランド豚との明確な線引きはなく、銘柄豚を独自の基準に沿ってブランド化したものをブランド豚と呼ぶことが多いようです。
そのため、銘柄豚であってブランド豚である豚肉も存在します。
日本の人気ブランド豚とその特徴
ブランド豚は、飼育方法や飼育環境にこだわって育成された豚肉であることがわかったところで、ここからは日本で人気のブランド豚について見ていきましょう。
沖縄あぐー
沖縄あぐーは、家畜改良協会が認定する琉球在来種豚「アグー」の雄を、JAおきなわ銘柄豚推進協議会が認めた西洋豚と交配した豚。
同協議会が策定した品質基準をクリアしたものにだけ証明書が交付され、ひらがなで「あぐー」と記された認定シールが添付されています。
沖縄あぐーの特徴は、グルタミン酸が豊富なので濃厚な旨味を感じる一方、脂肪はさっぱりしていること。
食感もまろやかで食べやすい上、低コレステロールでヘルシーなのも人気の秘密です。
かごしま黒豚
約400年前に琉球から移入したといわれる、黒豚を起源とするかごしま黒豚。
自然豊かで温暖な鹿児島の風土の中で長年飼育され、幕末期に「滋味ある豚肉」として広く知られるようになりました。
現在、かごしま黒豚として認められるには、バークシャー種(イギリス原産の黒豚)以外の品種と混ぜて飼育しないこと、肥育後期に甘藷(かんしょ:サツマイモ)を10~20%添加した飼料を60日以上与えることが条件で、一般的な豚の1.2~1.5倍程の肥育期間を経て出荷されます。
繊維質が細い肉なので歯切れが良く、たんぱく質やビタミンB群に加え、うま味成分であるアミノ酸もたっぷり含まれています。
東京X
東京X(トウキョウエックス)は、1997年に日本種豚登録協会に登録された東京生まれの豚。
印象的な名前は、異なる品種間の交配によって生まれた交雑種を表すX(クロス)と、未知の可能性X(エックス)を秘めているという意味を込めてつけられたそうです。
「Safety(安全性)」「Biotics(生命力学)」「Animal welfare(動物福祉)」「Quality(品質)」の4つの理念のもと、北京黒豚にバークシャー種とデュロック種を交配し、7年かけて誕生しました。
肉質はきめ細かく、舌触りはなめらか。脂肪の質が良く、風味も優れています。
白金豚
白金豚(はっきんとん)は、岩手県花巻市の高源精麦株式会社が生産・加工を行い、レストラン用として生産されているブランド豚。
別名「プラチナポーク」とも呼ばれます。
バークシャー種を含む3種の血統からなる豚で、3種それぞれの特徴を持ち合わせた味や香りが魅力。
地元産のとうもろこしと、釜石で採取した鉱石でろ過した天然の地下水で育てられており、きめ細かくしっとりした肉質と甘味のある脂身が特徴。
レストランで提供されることを目的に生まれた豚のため、有名になった今でも一般の小売店では販売されていません。
和豚もちぶた
和豚もちぶた(わとんもちぶた)は、群馬県渋川市に本社を置くグローバルピッグファーム株式会社だけで生産している豚肉です。
原々種豚(※)から管理して育てられ、そこで生まれた優秀な豚だけが選抜されて種豚(親豚)に。
豚の栄養学にもとづいて配合された統一の飼料を使って育てられています。
グルタミン酸や、酸化を防ぐビタミンEが多く含まれているため、うま味とコクが強く、脂の甘味が楽しめます。
ロースや肩の部分は、しっかり焼いても、冷めても固くならないのも特徴です。
※原々種(げんげんしゅ)豚:食肉にされる肉豚を生産するために飼養される豚(親)を「種豚」と呼び、その種豚を生産する豚(祖父母)を「原種豚」、さらにその原種豚の親となるのが「原々種豚」と呼ばれる。良質な肉豚の基礎となる豚。
ヤマトポーク
美しい水と空気に恵まれた奈良県で生産されるブランド豚のヤマトポーク。
生まれてから出荷までの6ヵ月間、成長過程に合わせて豚舎や飼料を変えて飼育されます。
くさみの原因となる動物性原料は一切使用せず、穀類をベースにした高カロリーの飼料を与えているため、肉質は上質な脂肪を適度に挟んでいて、とてもジューシーです。
また、比較的リーズナブルなのもうれしいポイント。しゃぶしゃぶや鍋料理、生姜焼きなど、幅広い料理に利用されています。
豚肉の部位名と特徴
豚肉は、部位によって肉質や脂の入り方が異なります。各部位の特徴を知り、料理に合ったお肉を選びましょう。
肩:筋肉質で固め
肩はよく動かす部位なので、筋肉質で線維が強く、固めの部位。
赤身が多いですが、脂身も程良く含んでいます。
細かくカットされて豚こま肉の原料になる部位ですが、大きいままならじっくり火を通す煮込み料理が最適。
肩ロース:コクのある味わい
肩ロースは、脂身と赤身がバランス良く混ざり合い、コクのある味わいが楽しめます。
ひき肉や角切り、薄切りなど、さまざまな形に加工され、ステーキや生姜焼き、しゃぶしゃぶなどに使われます。
ロース:肉のキメが細かく、脂も上質
肉のキメが細かく、日本人好みの部位といわれるロースは、家庭料理によく使われる部位です。
こちらも脂身と赤身のバランスが良く、表面の適度な脂肪に旨みがあります。
やわらかいだけでなく歯応えもあり、ステーキやローストポークなどにおすすめ。
モモ:脂身が少なくあっさりしている
モモは筋肉が多く、赤身中心の部位。脂身が少なく、あっさりとしています。
煮込むとパサつくことがあるため、しゃぶしゃぶや炒め物にするといいでしょう。
バラ:濃厚な脂が楽しめる
赤身と脂身が3層になり、濃厚な脂が楽しめるバラも、家庭でよく食べられる部位のひとつ。
バラならではの脂の甘味を味わうなら、塊肉をチャーシューや角煮にするのが◎です。
薄くスライスしたものなら、しゃぶしゃぶや炒め物にしてもおいしいです。
ヒレ:脂が苦手な人でも食べやすい
ヒレは、1頭からわずかしか取れない稀少な部位。
脂肪分が少ないため、脂っこいものが苦手な人でも食べやすいでしょう。
あっさりした味わいでやわらかいため、トンカツで食べるのがおすすめです。
全国各地のブランド豚を、おすすめの食べ方で楽しもう
日本には、生産者が心を込めて飼育したブランド肉が数多く存在しています。
いずれも、飼育方法にこだわっているからこそ出せる繊細な味わいで、肉そのもののおいしさを堪能できるでしょう。
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気になるブランド豚を選んで、各生産者がおすすめしている食べ方を試してみてください。
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