食感と作りたい料理で選ぶ、じゃがいもの種類
じゃがいもは、種類によって食感や煮崩れのしやすさが異なります。
食感でいうと、加熱するとほくほくするか、しっとりするかに分かれ、どちらのタイプかによっておすすめの調理法が変わってくるのです。
ここでは、日本でよく食べられているじゃがいもの種類とそれぞれの特徴、おすすめの調理法をご紹介します。
じゃがいもの種類ごとの特徴チャート
食感が「ほくほく」
ほくほくした食感のじゃがいもは、表面が煮崩れることによっておいしそうな見た目とやわらかい舌触りになる粉吹き芋、つぶして使うポテトサラダやコロッケなどに向いています。
ほくほく食感のじゃがいものうち、代表的な種類と特徴を見ていきましょう。
男爵
1928年に北海道の優良品種に指定されて以来、長く愛されている男爵。
「じゃがいもといえば男爵」という人も多い、代表的な品種です。
ごつごつとした見た目で形は丸く、果肉は白。
でんぷん質を多く含むため、茹でるとばらばらになったでんぷんがほくほくした食感を引き出します。
粉吹き芋にすると、ほろほろとした口溶けとともに、じゃがいもらしい甘味を味わうことができるでしょう。
キタアカリ
男爵の改良品種であるキタアカリは、男爵よりも皮が薄く、果肉は黄色です。
芽の部分が赤いので、ほかのじゃがいもと見分けがつきやすいでしょう。
栗のように深い甘味があり、「クリジャガイモ」と呼ばれることも。
でんぷんの割合が男爵より高いため、よりほくほくした食感を求める方に好まれる品種です。
火の通りが良くて煮崩れしやすいため、ポテトサラダなどを作るときに向いています。
ベニアカリ
ベニアカリは名前のとおり、赤みがかった外皮が特徴的な品種です。
元々でんぷんを取るために作られた品種であり、でんぷん質が豊富です。
もちもちした食感が特徴ですが、煮崩れはしやすいため、コロッケやマッシュポテトなどに使うといいでしょう。
トヨシロ
「豊かにとれて、色が白い」ことからその名がついたといわれるトヨシロ。
楕円形の見た目で、サイズは大きめです。
「ほくほく」と「しっとり」の中間で食感のバランスが良く、大きく煮崩れはしません。
芽が浅く皮をむいても可食部が十分に残ること、油で揚げても変色しにくいことから、ポテトチップなどの加工用として多く使われています。
アンデスレッド
アンデスレッドは皮が赤色で、果肉は黄金色をしています。
形は男爵に近いですが、見た目は小さなさつまいものよう。
熱を加えるとほくほくとして、時間が経つと滑らかになります。
煮崩れしやすい性質を活かしてポテトサラダやコロッケに使うと、時間が経ってもおいしく食べられます。
食感が「しっとり」
しっとりした食感のじゃがいもは煮崩れしにくいため、シチューやカレー、肉じゃがなど、煮込んでも「じゃがいもの形」を失いたくない料理に向いています。
フレンチフライや炒め物などにも使いやすいでしょう。
しっとり食感のじゃがいもについても、代表的な種類と特徴をご紹介します。
インカのめざめ
小さめの楕円形で、果肉が濃い目の黄色をしているインカのめざめ。
「栗やさつまいものよう」とも評される甘さが特徴で、小さいものほど甘味が強いでしょう。
煮込み料理のほか、調理後の色が変わりにくい性質を活かして、揚げ物にもおすすめです。
以前より見かける機会が増えましたが、疫病や害虫に弱く栽培が難しいこと、小ぶりなために収穫もすべて手作業であることから、生産量・流通量は少なく希少な品種です。
収穫後の二次成長が盛んで、暖かい場所では芽が出やすいため、新聞紙などに包んで冷蔵庫で保存するようにしましょう。
メークイン
メークインは、表面がつるっとしていて楕円形のじゃがいもです。
しっとり、ねっとりした食感で、果肉はきめ細かで煮崩れしにくいため、煮込み料理や揚げ物、炒め物などに使っても形がきれいに残ります。
味に癖はありませんが、じゃがいもらしい甘味が強いので使い勝手が良く、さまざまな料理に活用できるでしょう。
塩味の肉じゃがなど、比較的シンプルな味付けにするとじゃがいもの風味が引き立つのでおすすめです。
ホッカイコガネ
トヨシロと別のじゃがいもを交配して生まれた品種で、形はトヨシロに近い楕円形をしているホッカイコガネ。
ほかのじゃがいもより糖度が低いため、揚げ物にしたときに変色しません。
名前の由来も、メインの産地である北海道の「ホッカイ」と、揚げたときの色を表す「コガネ」からつけられたのだそう。
メインは加工品としての出荷ですが、生鮮品としても流通しており、フライドポテトに多く利用されています。
ノーザンルビー
北海道生まれのノーザンルビーは、凹凸のない滑らかな皮と煮崩れのしにくさがメークインに似ています。
しかし、ポリフェノールの一種であるアントシアニンの働きによって、皮も果肉もきれいなピンク色をしている点が大きな違いです。
鮮やかなピンク色は、調理をしても落ちません。
そのため、色味を活かしてスープやお菓子などに使うと写真映えのする一品に仕上がります。
はるか
皮が薄めの茶色で、芽の周りが淡いピンク色をしているはるか。
しっとりとやわらかい食感で、皮付きでも食べることもできます。
芽が浅くて皮がむきやすい上、皮をむいた後もきれいな色を維持できるため、生のまま水にさらしてサラダなどにしてもいいでしょう。
でんぷん質が少なく、生で食べても粉っぽさがありません。
茹でたりふかしたりしたときの食味も良く、ふかしてバターをつければおやつとしても重宝します。
じゃがいもと新じゃがは何が違う?
春が近づくと、スーパーの売り場に新じゃがが並ぶようになります。
新じゃがは、完熟するのを待たずに収穫し、貯蔵・熟成期間を省いてすぐ出荷するじゃがいものことで、品種ではありません。
完熟前に収穫するため、通常のじゃがいもよりサイズが小ぶりで、皮も薄め。
全体に水分を多く含んでいてやわらかく、火が通りやすいのが特徴です。
掘り立てでえぐみがなく、皮ごとおいしく食べられるため、時短調理にも役立ちます。
じゃがいもの種類ごとの特徴を活かして、料理をよりおいしく
じゃがいもは全国各地で通年栽培され、収穫後は倉庫で一定期間熟成させた後に出荷されます。
新じゃがを含めて最も多くの種類が出回る春と秋は、じゃがいもの種類がバリエーションに富む時期ですから、料理に合わせてぜひ使い分けてみてください。
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