山菜とは、野山に自生する食用の植物のこと
山菜とは、野山などに自生し、食用にできる植物の総称です。
日本では縄文時代から山菜が食べられてきたとされ、その種類は300種類以上に上ります。
収穫時期は地域や種類、生える場所などによって異なりますが、一般的には春が旬です。
山菜の面白いところは、同じ名前の山菜でも、地域によって指す種類が違うことがある点です。
例えば「たけのこ」といっても、長野県北部では「ネマガリタケ」、南部では「孟宗竹」を思い浮かべるなど、地域性が色濃く表れます。
また、ある地域では好んで食べられる山菜が、別の地域では食用とされていない場合もあります。
山菜にはどんな種類がある?
山菜といえば苦いというイメージを持つ方が多いかもしれませんが、中には酸味や甘味を感じるものもあり、多様な味わいを楽しめます。
また、山菜を選ぶ基準は、味わいだけではありません。
独特な香りを楽しめるものや、見た目がユニークなもの、ほかの食材にはないような面白い食感を持つものなど、さまざまな魅力があります。
ここからは、そんな多様な山菜の中から、吉原さんおすすめの山菜をピックアップしてご紹介します。
タラの芽

撮影:吉原遊
タラの芽は、全国の幅広い地域に自生するタラノキの若芽です。
山菜の中でも癖が少なく、程良い苦味と爽やかな香りが特徴で、「山菜の王様」とも呼ばれています。
天ぷらやおひたしにすると、豊かな味わいと香りを存分に楽しむことができます。
イタドリ

イタドリは、日当たりの良い土手や川原などに自生する植物です。
程良い酸味とカリッとした歯ごたえが特徴で、炒め物や煮物、酢の物など、さまざまな料理に合います。
特に高知県で人気が高く、塩漬けや冷凍にして保存し、一年を通して楽しまれています。
フキノトウ

撮影:吉原遊
フキノトウは、フキの蕾の部分で、雪解けの頃に芽を出す山菜です。
独特のほろ苦さが特徴ですが、ほんのりとした甘味も感じられます。
天ぷらやフキ味噌など、油を使って料理するとアクが和らぎ、おいしく楽しむことができます。
ウド

撮影:吉原遊
ウドは、日当たりのいい山の斜面によく生える植物です。
ほろ苦さとシャキシャキとした食感が癖になるおいしさで、定番の山菜として親しまれています。
ウドのもうひとつの魅力は、捨てる部分がなく丸ごと楽しめることです。
茎や皮まで無駄にせず、すべておいしく食べられます。
こごみ

撮影:吉原遊
こごみは、クサソテツという植物の若芽を指します。
山菜らしい青っぽさがありながらも苦味が少なく、シャキシャキとした食感が魅力です。
おひたしやあえ物、天ぷらなどが定番の食べ方ですが、歯応えが残る程度に茹でた後、出汁で含め煮にしたり、パスタに和えたり、中華風に炒めたりと、和洋中どんな味付けにも合う万能な山菜です。
ミヤマイラクサ

撮影:吉原遊
ミヤマイラクサは、全国の山地の日陰や湿った場所に自生する植物で、「アイコ」という別名でも親しまれています。
全身が細かい産毛のような棘に覆われていて、収穫の際に素手で触ると悲鳴を上げるほど痛いそうですが、収穫してから時間が経つにつれて棘がやわらかくなります。
棘のある独特な見た目をしていますが、食感が魅力的で、コリコリとした歯応えがたまりません。
棘は加熱することで気にならなくなります。
さっと茹でて冷水に取ってから、皮をむき3cm幅に切っておひたしやあえ物にしたり、わさび醤油で軽く漬けたりするのがおすすめです。
山菜特有の癖がなく、あっさりとした上品な味わいなので、シンプルな味付けでおいしく楽しめます。
行者にんにく

撮影:吉原遊
行者にんにくは涼しい場所を好む植物で、北海道が主な産地です。
にんにくやネギ、ニラのようなしっかりとした風味と香りが特徴で、天ぷらやおひたしなど、シンプルな調理法がおすすめです。
また、醤油漬けにしてストックしておけば、冷奴に乗せたり、チャーハンに加えたり、ラーメンのトッピングに使ったりして手軽に行者にんにくの風味が楽しめます。
ただし、毒性のあるスイセンやイヌサフランと見た目が似ているため、安全のためにもプロが採ったものをお取り寄せしたり、お店で購入したりするようにしてください。
ネマガリタケ(根曲がり竹)

撮影:吉原遊
ネマガリタケは、チシマザサという植物の若竹のことです。
信越地方では「ネマガリタケ」と呼ばれ、ほかの地域では「ヒメタケ」や「ガッサンダケ」といった別名で親しまれています。
シャキシャキとした歯切れの良い食感と、えぐみの少なさが特徴で、人気のあるたけのこです。
長野県の北信地域と新潟県の上越地域では、ネマガリタケをサバ缶といっしょに味噌汁に入れる食べ方が一般的です。
コシアブラ

撮影:吉原遊
コシアブラは、高さ10~20m程になる落葉高木の新芽です。
ほんのりとした苦味と、強く爽やかな香りが食欲をそそります。
「山菜の女王」とも称されるほど、人気の高い山菜です。
天ぷらが人気の調理法ですが、アクを抜いてあえ物やおひたしにするのもおすすめです。
また、鶏肉や根菜といっしょに炊き込みご飯にすると、一口ごとにコシアブラの香りと旨みが広がり、食欲をそそります。
ミズ

撮影:吉原遊
ミズ(正式名称:ウワバミソウ)は、渓流沿いや山間部の湿地など、日の当たらない湿った場所に自生する山菜です。
主に食べるのは茎の部分で、みずみずしさとシャキシャキとした食感を楽しめます。
すっきりとした味わいで、癖やアクが少なく、さまざまな料理に活用できます。
浅漬けにしたり、刻んで味噌汁に入れたりするのが一般的ですが、丸く結んで天ぷらにするのもおすすめです。
また、茎の部分に若干のぬめりがあるので、包丁で叩いて味噌と和え、なめろう風にして食べるのもおいしいですよ。
プロ直伝!山菜を使ったおすすめレシピ
ここからは、「LAMP野尻湖」で実際にシェフが作っている山菜レシピの中から、吉原さんおすすめの3品をご紹介します。
ウドの皮のきんぴら
<材料>
- ウド
- 1本
- 鷹の爪(種を抜く)
- 1本
- 酒
- 大さじ3
- 砂糖
- 大さじ3
- みりん
- 大さじ3
- 醤油
- 大さじ3
- 顆粒の旨み調味料
- 少々
- サラダ油
- 適量
<作り方>
- ウドを根元から2/3の位置で切り分け、皮を剥く。剥いた皮は粗みじん切りにする。茎の部分は、剥いた皮の厚さに合わせて短冊切りにする。枝葉の部分は粗みじん切りにする。
- フライパンにサラダ油を熱し、鷹の爪を軽く炒める。ウドの皮・茎・枝葉をフライパンに加え、全体がしんなりするまで炒める。
- 酒、砂糖、みりん、醤油を順に加え、全体を炒め合わせる。水分が少なくなり、ウドに味が馴染むまで煮詰める。お好みで顆粒の旨み調味料を加えて仕上げる。
ウドのカルパッチョ風
<材料>
- ウド(根元部分)
- 1本分
- コリアンダーシード
- 少々
- 酢
- 小さじ1
- 水
- 200mL
- レモン汁
- 大さじ1
- エキストラバージンオリーブオイル
- 大さじ2
- 塩
- 少々
<作り方>
- ウドの根元の太くて白い部分の皮を剥く。根本を2~3cmの厚さに短冊切りし、酢と水を混ぜた酢水に2~3分さらしてアク抜きと色止めをする。酢水から引き上げて水分をしっかり切る。
- レモン汁とエキストラバージンオリーブオイルを混ぜ合わせたドレッシングで和える。ウドが軽くコーティングされる程度でOK。塩少々を振る。
- コリアンダーシードを包丁の腹でつぶし、全体に軽くまぶす。
※アレンジとして、白身魚の刺身を加えてマリネにするのもおすすめ。
こごみのエスニック風
<材料>
- こごみ
- 100g
- 重曹
- ひとつまみ
[調味料]
- 砂糖
- 小さじ1
- おろし生姜
- 小さじ2
- 白煎りごま(すりごまでも可)
- 適量
- レモン汁
- 少々
- ごま油
- 大さじ2
- 塩
- 適量
<作り方>
- 調味料はあらかじめ混ぜ合わせておく。
- 大きめの鍋に水を入れ、ひとつまみの重曹を加えて沸騰させる。
- こごみを加え、食感が残る程度まで茹でる。茹で上がったこごみを氷水に取り、冷ました後にしっかりと水気を切る。
- 混ぜ合わせておいた調味料でこごみを和える。お好みの味になるよう、適宜塩を加えて調整する。
新鮮な山菜で、日本の春を体感しよう
春の訪れを感じさせてくれる山菜には多くの種類があり、それぞれ独特の風味や食感を楽しむことができます。
しかし、山菜は毒性のある植物と見分けのつきにくい場合があったり、山深い場所に生えていたりと、安全に入手するのは容易ではありません。
山菜を購入する際は、信頼できるお取り寄せサイトや店舗を活用するのがおすすめです。
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