ホタテの旬はいつ?天然と養殖ものの違いや、おすすめの食べ方を紹介

生のホタテ

独特の食感やにおいがある貝類は、好き嫌いが分かれる食材かもしれません。
しかし、その中でも癖があまりなく優しい甘味を持つホタテは、年齢を問わず多くの人に好かれる海の幸です。

刺身で食べても、ソテーやフライなど加熱して食べても良し。旬が夏と冬の2回あり、それぞれ味が異なるため、味の違いを食べ比べても良いでしょう。
今回は、ホタテの旬はいつなのか、時期ごとの特徴やおいしい食べ方をご紹介します。

天然ホタテの旬は冬と春の2回

天然ホタテの旬は2回あります。その大半が北海道で収穫され、次いで青森県が主な産地。
ホタテは冷たい水を好むため、北海道や東北地方の浅い海に多く生息しているといわれています。

ここでは、主に北海道と青森県でとれる、旬ごとのホタテの特徴について見ていきましょう。

夏(5~8月):貝柱が大きくなって甘味が増す

水温が低い海でとれるホタテには冬のイメージがありますが、1度目の旬は夏。
産地によっても細かい旬時期は異なるものの、この時期のホタテは産卵後の成長期にあり、貝柱が大きくなり、身が厚くなって旨味が増すといわれています。

北海道…オホーツク海側

天然ホタテの一大産地である北海道で夏に旬を迎えるのは、オホーツク海側でとれるホタテです。オホーツク海や根室海峡地区で盛んなホタテ漁は、「地撒き(じまき)式」になります。

地撒き式は、稚貝を約3cm程度になるまで育てて海に放し、2〜4年程後に漁獲する方法で、冬から春にかけて水揚げの最盛期を迎えます。

特に、日本最北端の猿払(さるふつ)村は、夏に旬を迎えるホタテの名産地として知られており、弾力があって歯応えのあるホタテが育ちます。

青森県…陸奥湾

北海道に次いで天然ホタテがとれる青森県では、陸奥湾が主な産地。冷涼な気候と湾の穏やかさがホタテの生育に適しており、甘味があって立派な貝柱を持つホタテが育つのが特徴です。

特に4〜6月は身がぎっしり詰まったホタテが収穫でき、地元漁業組合では6月18日を「陸奥湾ほたての日」としてさまざまなイベントが開催されています。

冬(12~3月):卵が大きくなって旨味たっぷり

夏を越したホタテは、冬に産卵の準備に入ります。
海水の温度が最も低くなって卵が最大化する、12~3月が2度目の旬です。

北海道…函館、内浦湾(噴火湾)

北海道で冬に旬を迎えるのは、函館や内浦湾のホタテ。このあたりでは、稚貝をロープなどで海中につるし、1~2年かけて成長させてからとる「垂下(すいか)式」が盛んです。函館のホタテは潮の流れが速い津軽海峡に近いため、身が締まったホタテがとれます。

また、内浦湾では、有珠山や駒ヶ岳といった周辺の山や太平洋から流れ込むプランクトンを栄養源にした、弾力のある旨味が特徴です。

青森県…陸奥湾

産地によって旬が分かれる北海道に対し、青森県では夏・冬共に陸奥湾がメインの産地です。
陸奥湾は周りが陸で囲まれているため、夏でも水温が低く保たれており、ホタテにとって過ごしやすい環境を作り出します。

養殖ホタテは1年中おいしいものが食べられる

前項では天然ホタテの旬についてご紹介しましたが、実はホタテには天然と養殖ものがあります。

スーパーの店頭などでよく見かけるホタテのほとんどは養殖もので、北海道と青森県産が中心。ほかにも、宮城県や岩手県でも盛んに養殖が行われています。

近年の養殖技術の発達により、天然ものと遜色のない、質の良いホタテが年間を通して店頭に並ぶようになっています。

ホタテの養殖作業

旬ごとのおすすめの食べ方

天然ホタテは旬によって身の状態が異なるため、おすすめの食べ方も変わります。それぞれ、詳しく見ていきましょう。

夏は貝柱を楽しむのが◎

ホタテの刺身

産卵を終えたホタテは、プランクトンをたくさん食べてどんどん成長します。
特に、7月上旬から下旬にかけては貝柱が太く大きくなり、甘味も増す時期。「ホタテはやっぱり貝柱!」という方は、夏の旬を狙いましょう。

貝柱の味と食感を堪能するなら、フライや刺身などにして食べるのが最適です。

冬は身から出る芳醇な出汁を味わおう

ホタテの鍋

夏を越したホタテは産卵の準備に入り、卵(生殖巣)や白子が次第に大きくなる一方で貝柱は小さくなります。

海水の温度が最も低くなる2〜3月には、卵が最大化して最も食べ頃に。
濃厚な卵からは良い出汁が出るので、お鍋や煮つけなどで楽しむ人が多いようです。

一方、白子は淡白で食べやすく、煮物などでじっくり味を含ませて食べるのがおすすめ。鮮度が良いものは生でも食べられます。

ベビーホタテとホタテの違い

ベビーホタテ

ホタテより安価に購入できる「ベビーホタテ」は、ホタテの育成過程で必ず生まれる非常に小さなホタテのこと。

一般的に販売されている大きさのホタテ(成貝)を育てるには、養殖の段階で小さな貝を間引く必要があります。このとき間引かれたものを無駄にしないよう、冬から春にかけてベビーホタテ(半成貝)として販売されているのです。

生後約2〜4年で出荷される通常のホタテに対して、ベビーホタテは生後1年程度で出荷されるため、かなり小さめです。
しかし、小さくても栄養成分は成貝のホタテと変わりません。卵がない分、栄養成分が身に凝縮されており、効率良く栄養がとれるともいわれています。

また、ベビーホタテの多くはボイルして旨みを閉じ込めてから冷凍されて出荷されているため、必要な分だけ解凍して、バター焼きや炊き込みご飯などに使うことができます。

栄養満点!ホタテに含まれる栄養素

ホタテは、おいしいだけでなく体にうれしい栄養素をたっぷり含んでいます。
しかも、高たんぱく・低脂質で、ヘルシーなのもポイント。栄養面からも積極的に取り入れたい海産物だといえます。

ここからは、ホタテに含まれる主な栄養素と、各栄養素が体にもたらすメリットについて紹介します。

たんぱく質:体を作り、生命維持のために不可欠

たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛といった体を構成する成分であり、体の機能を調整するホルモンや酵素などの要素としても重要な役割を果たしています。

エネルギー産生栄養素のひとつであり、生命の維持に欠かすことができない栄養素。肌や髪の毛、爪などを美しく保つほか、脂肪燃焼効果や基礎代謝を維持する効果も期待できます。

タウリン:コレステロールを減らし、血圧の上昇を抑える

魚介類に多く含まれる栄養成分のタウリンには、コレステロールを減らしたり、高血圧を予防したりする作用があります。

インスリンの分泌を促進するため、血糖値を一定に保ち、太りにくい体を維持する働きも。

グリシン:美肌、睡眠の質を高める

グリシンはコラーゲンの3分の1を占める成分であり、肌のハリや弾力を保つ働きが期待できます。

最近では、深い眠りにつくまでの時間を短縮し、深く眠ってからの時間を増長させることで、睡眠の質を高める効果も注目されています。

旬ごとに味わいの異なるホタテを、時期ごとに楽しもう

天然のホタテには、夏と冬、2度の旬があり、それぞれ貝柱の甘み、卵と白子の旨味を味わうことができます。旬の時期によって、おいしさもおすすめの食べ方も異なるため、時期ごとに食べ比べて好みの味を探してみてください。
また、最近では天然物に勝るとも劣らない養殖物が増えており、1年を通じて栄養満点のホタテが食べられるようになっています。

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