エビの種類はどれくらいある?日本でとれるおいしいエビを紹介

エビの種類

エビは、日本の食文化においてなじみ深い魚介類のひとつ。
天ぷらやエビフライのような日常の食事で食べられるエビもあれば、縁起の良い食材としてお祝いの席に登場する伊勢海老や車海老などは、高級品として一目置かれる存在でもあります。

日本では魚介類全体の消費量が減少傾向にあるとはいえ、エビの消費量は常にトップクラス。
2023年に行われた総務省「家計調査」によると、エビの1世帯(2人以上)あたりの年間購入量は、サケ、マグロに続く3番目でした。

このように日本の食文化に浸透しているエビは、世界的にかなり多くの種類があり、日本でもさまざまなエビが水揚げされています。
ここでは、日本でとれるエビの種類とその特徴についてご紹介します。

エビは世界に2,500種類以上もいる

世界中で発見されているエビの種類は、川や海などで2,500種類以上といわれており、そのほとんどが食用。
日本ではその中の約20種類が食べられているそうです。

日本は世界でもトップクラスのエビの消費量を誇り、さまざまな料理に使われていますが、日本国内での漁獲量は意外と少なく、約90%はベトナムやインドなどからの輸入に頼っている状況。
世界的には養殖エビの生産量が増えており、日本で多く消費されているバナメイエビやブラックタイガーも、そのほとんどは養殖された輸入品が中心です。

日本ではエビの養殖が普及していない状況ですが、近年ではバナメイエビをはじめとしたエビの日本国内での養殖を促進する動きが見られ、持続可能なエビ供給の確保に向けた努力が行われています。
国内での養殖技術の発展により、将来的にはより多くの種類のエビが国内で生産されるようになるかもしれません。

日本でとれるエビの種類は?

日本の消費量全体から見ると希少な国内で生産されるエビは、主に佐賀県や兵庫県で天然物が多く水揚げされている一方、養殖物は滋賀県や茨城県、北海道が多くなっています(※)。

日本でとれる代表的なエビの種類は、下記のとおりです

※ 農林水産省「令和4年漁業・養殖業生産統計

ボタンエビ(トヤマエビ)

ボタンエビ(トヤマエビ)

ボタンエビとして流通しているものは、実は北海道~福井県以北の日本海でとれる「トヤマエビ」と、茨城県や千葉県など主に太平洋側でとれる「ボタンエビ」の2つがあります。

少しややこしいのですが、本種のボタンエビは希少種で手に入りづらいため、ボタンエビとして一般的に多く流通しているのはトヤマエビのほうです。

地域によって差はありますが、主に冬に旬を迎えるトヤマエビは、成長するにつれて性転換するエビ。
2~3歳まではオスなものの、4歳頃になるとメスに転換し、その後何度か産卵をします。
おなかに卵を抱えた状態で販売されているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

おすすめの食べ方

鮮度の良いものは刺身や寿司ネタとしてなど、生で食べるのが◎。卵もおいしくいただけます。
また、生で食べた後に残った殻を、味噌汁の出汁に利用してもいいですね。
ほかにも、天ぷらや塩焼き、大型のものはしゃぶしゃぶで食べることも。

伊勢海老

伊勢海老

日本では、エビの最高峰といえる存在の伊勢海老。
親エビになると、体長20cm程の硬い殻に覆われた立派な姿になり、プリッとした食感と濃厚な味わいを楽しめるごちそうです。

そもそもエビは縁起が良いといういわれがあり、結婚式などの慶事やおせち料理で食べられる文化がありますが、その中でも伊勢海老はさらに縁起が良いとされています。
伊勢海老の寿命は長く、30年程生きる場合もあることから、長生きの象徴といわれています。また、成長過程で約30回も脱皮を繰り返すことから、立身出世の象徴とされているのです。

三重県と千葉県を筆頭に、和歌山県や静岡県など関東以南の地域で水揚げされます。
夏の期間は産卵期のため禁漁になり、秋~春にかけてが漁期となりますが、旬といえるのは水温が下がる秋~冬です。

おすすめの食べ方

身の部分だけでなく、ミソもおいしくいただける伊勢海老。
さまざまな食べ方ができますが、特に新鮮なうちに食べるなら刺身がおすすめです。伊勢海老ならではの食感と、とろけるような舌触りが楽しめますよ。
また、濃厚な味わいを堪能するなら加熱するのが◎。豪快に丸ごと焼いたり蒸したりするほか、出汁がたっぷり出る味噌汁やブイヤベースといった汁物、スープもおすすめです。

車海老

車海老

おせち料理でもおなじみの高級エビである車海老は、成長に伴って名前が変わる出世魚ならぬ出世エビ。
小さいものから順に、「小巻(こまき)or細巻(さいまき)海老」「巻(まき)海老」「車海老」となります。

車海老の成長過程

呼び名 体長
小巻(こまき)・細巻(さいまき)海老 ~10cm
巻(まき)海老 10~15cm
車海老 15cm以上

おさすが高級エビとあって、車海老は甘味が強くて旨味が濃く、伊勢海老に引けを取らないおいしさが魅力。

三河湾や伊勢湾をはじめ、西日本の太平洋側で主に水揚げされますが、天然物はかなり希少で高級品です。
国産で流通しているものの多くは養殖物で、2022年の統計(※)によると、沖縄県や鹿児島県、熊本県での漁獲量が多くなっています。

※ 農林水産省「令和4年漁業・養殖業生産統計

おすすめの食べ方

車海老といえば塩焼き!軽くレモンを絞って、頭から食べるのがおいしいです。
ほかにも、刺身など生食がおすすめのほか、天ぷらやアヒージョなど加熱調理も◎。
また、小巻海老はよくかき揚げでも使われます。

サクラエビ

サクラエビ

桜色をした体長4~5cm程度の小さなサクラエビは、世界的に見ても希少なエビで、日本近海では駿河湾や相模湾、東京湾に生息しているといわれています。漁獲が許されているのは、駿河湾のある静岡だけ。

しかし、2018年は歴史的な不漁で休漁を余儀なくされるなど、非常に貴重な水産資源となっており、現在はサクラエビの保護が課題です。

駿河湾のサクラエビの漁期は春と秋の2回あり、輸入物のサクラエビより甘味が濃いといわれます。
ほかの種類のエビと比べてもカルシウムの含有量は多く、栄養たっぷりです。

おすすめの食べ方

サクラエビは、干したり、釜揚げにしたりしたものを目にすることが多いですが、生のサクラエビが食べられるのは世界で日本だけなのだそう。

天日干しによって旨味が凝縮された干しサクラエビは、炒め物やチャーハン、お好み焼きなど、さまざまなメニューに使えるほか、釜揚げのサクラエビはほかの魚介といっしょに海鮮丼としてもおいしいです。
また、生で食べるなら刺身がおすすめですよ。

シラエビ

シラエビ

「白エビ」と書いてシラエビと読みます。
体長は5~8cmとサクラエビよりもやや大きいくらい。ほんのりと赤みはありながら名前のとおり全体に白っぽくて透明感があるエビです。

日本の沿岸にしか生息しないといわれ、富山湾のほか、駿河湾や相模湾などに分布していますが、流通できるほど水揚げされるのは富山湾だけ。

シラエビはもろくて傷つきやすく、鮮度が落ちるのも早いことから、かつては食用として流通することが少なかったものの、近年は冷凍技術や流通網の発達によって広く食べられるようになりました。

おすすめの食べ方

シラエビは、生での流通は少なく、ほとんどが素干しや釜揚げ、むき身、塩辛、お菓子などの加工品になっています。

加工せずに食べる場合は、かき揚げや天ぷらといった揚げ物、麺類の汁の具材としてよく食べられているほか、刺身にしてもおいしいです。

アマエビ

アマエビ

トロッとした食感と甘味が特徴のアマエビは、正式な和名を「ホッコクアカエビ」といいます。
北海道や新潟県、富山県をはじめとする日本海沿岸で多く水揚げされ、鮮やかな赤色と形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから、新潟県では「南蛮エビ」としてブランド化されています。

アマエビも成長過程で性転換するエビ。
生まれてから2~4年経つとオスとして成熟して交尾するようになり、5年が経つ頃にはメスに変わって産卵します。

通年漁獲されますが、水温が低くなる秋~冬が食べ頃といわれています。

おすすめの食べ方

アマエビ独特のねっとりとした口当たりを楽しむなら、生で食べるのが一番!
刺身や寿司のネタ、海鮮丼などで楽しむのがおすすめです。
残った頭は素揚げにしたり、味噌汁の出汁に活用したりして味わうのもいいですね。

シバエビ

シバエビ

シバエビは車海老の仲間ですが、体長は10~15cm程度で車海老よりも小さめ。
グレーがかった体に黒の斑点があり、ヒゲがとても長いのが特徴です。

有明海や三河湾、瀬戸内海といった内湾で主に水揚げされ、旬は秋~春までと比較的長いです。
近年は漁獲量が減ってきているため、高級なエビとなっています。

車海老ほどの風味はありませんが、皮がやわらかくてエビらしい味わいが楽しめますよ。

おすすめの食べ方

シバエビは生よりも加熱調理したほうが、甘味が増します。
秋~冬の小さめなものは、頭とヒゲを取って唐揚げや天ぷら、かき揚げといった揚げ物にするのが◎。

一方、春の大きめのものはシバエビを丸ごと使って、塩焼きや炒め物(ガーリック炒めがイチオシ)、アヒージョなどにするのがおすすめです。

ホッカイエビ

ホッカイエビ

ホッカイエビという名が示すとおり、北海道の太平洋沿岸、オホーツク海沿岸が主たる産地。
海草の一種であるアマモなどが茂る藻場に生息しており、加熱すると赤くなりますが、生きているときは草色の胴体に白っぽい縦縞の模様がある、体長10cm程度のエビです。

漁期は6~7月頃と10~11月頃の年2回のみ。
有数の漁地である北海道東部の野付湾などでは、ホッカイエビが生息するアマモを傷つけないよう、風の力と潮流で船を動かしながら網を引く「打瀬網漁(うたせあみりょう)」という伝統的な方法がとられていることでも知られています。

夏はプリッとした食感としっかりした旨味を味わうことができ、秋は子持ちのエビも含まれるため、卵のプチプチ感と締まった身を楽しめます。

おすすめの食べ方

ホッカイエビは鮮度が落ちやすいため、産地で塩茹でした後に冷凍して出荷されることがほとんど。
茹でて冷凍されたものは、解凍してそのまま食べてもOKです。卵はもちろん、頭の部分に詰まっているミソもおいしいですよ。
また、殻ごと唐揚げにしたり、残った頭や殻で出汁を取って味噌汁にしたりしても◎。

クマエビ

クマエビ

車海老の仲間で、アシアカエビなど産地によってさまざまな呼び方をされますが、正式な和名は「クマエビ」です。
車海老よりちょっと小さめですが味はよく似ており、リーズナブルなのが魅力。

日本では千葉県以南の太平洋側、鳥取県以西の日本海側に生息し、和歌山県や徳島県の紀伊水道周辺、静岡県の浜名湖周辺で水揚げされます。
漁期は産地によってちょっとずつ変わりますが、最もおいしいのは大型のものが増えて甘味がアップする冬の時期です。

近年では、水温の高い所でよく育つという特徴を活かして、養殖の取り組みも進められています。

おすすめの食べ方

クマエビは刺身でおいしく食べられますが、塩茹でや塩焼きなど、軽く火を通したほうがクマエビらしい味わいを存分に感じられます。
油との相性も良いため、王道の天ぷらやフライもおすすめ。
車海老よりも身がやわらかく仕上がるので、クマエビのほうを好む料理人も多いそうです。

同じエビでも味わいはさまざま!食べ比べがおすすめ

日本ではエビの漁獲量が少なくなっているため、ほとんどが輸入物となっていますが、貴重な水産資源として、全国各地でエビを保護するための取り組みがなされており、おいしいエビが毎年食べられる状況は変わりません。

今回ご紹介したように、一口にエビといっても味わいはそれぞれ異なりますので、気になる種類を食べ比べてみるのもいいですね。

スーパーなどで気軽に手に入れづらい種類もありますが、めいぶつチョイスなら全国の産地からさまざまなエビをそろえていますので、お近くで手に入らないエビが見つかるかもしれません。
贈答用はもちろん、ご自宅用にも◎。旬ならではのおいしさをぜひお楽しみください!