サツマイモの主な種類は?それぞれの特徴や糖質量を紹介

サツマイモ

かつて、サツマイモといえば「ベニアズマ」が有名でした。近年では「安納芋」など糖度の高いねっとり系の品種も人気を集め、サツマイモは種類によって味わいや食感が異なる食材であることが知られるようになっています。

本記事では、自分好みのサツマイモを見つけるための基礎知識として、サツマイモの種類ごとの特徴をご紹介。気になる糖質量についても解説します。

サツマイモの種類はおよそ60種類

焼き芋

日本で流通しているサツマイモの品種は、約60種類あります。
サツマイモは品種によって特徴が大きく異なるため、好みのサツマイモを見つけるには品種ごとの特徴に注目したいところ。

ただし、一部の品種には、栽培する県などが独自に付けた「ブランド名」が混在している場合があり、通称が違うだけで品種は同じこともあります。
例えば、よく見かける「べにはるか」のうち、大分県産のものは「甘太(かんた)くん」、JA新潟かがやきが販売しているものは「いもジェンヌ」の名称で販売されています。

また、約60種類のすべてが青果用(生食用)で栽培されているわけではありません。
サツマイモの用途は、次に挙げる「青果用」「焼酎原料用」「デンプン原料用」「加工食品用」の4つに分けられます。

青果用

青果用とは、生食用に販売されているサツマイモで、最も消費量が多い用途です。

代表的な品種

・ベニアズマ
・高系14号
・べにはるか

焼酎原料用

芋焼酎に使われる品種は、鹿児島県や宮崎県での栽培量がほとんどを占めています。

代表的な品種

・コガネセンガン
・タマアカネ
・コガネマサリ

デンプン原料用

デンプン原料用とは、片栗粉やちくわ・かまぼこなどの原料となるサツマイモを指します。

代表的な品種

・こないしん
・ダイチノユメ
・シロユタカ
・シロサツマ

加工食品用

加工食品用のサツマイモは、干し芋や芋けんぴ、大学芋をはじめとしたスイーツなどに加工されて販売されています。

代表的な品種

・コガネセンガン
・タマユタカ

よく食べられている主なサツマイモの種類

ここからは、青果用として販売されているサツマイモのうち、人気の8品種(ブランド)をピックアップしてご紹介します。

べにはるか

べにはるか

食感:ねっとり系
甘さ(加熱後):★★★★★

ほかの品種に比べて、味や見た目が「はるか」に優れていることからその名がついたべにはるか。
しっとりした口当たりとねっとりした食感が特徴で、豊かな甘味があります。

関東では茨城県や千葉県で多く栽培され、九州地方では大分県や宮崎県、鹿児島県でも栽培されています。
産地によって、「紅優甘」「紅天使」などのブランド名で販売されているものも。

収穫は九州地方で10月頃から始まり、本州では11月頃になります。

ベニアズマ

ベニアズマ

食感:ほくほく系
甘さ(加熱後):★★★☆☆

ベニアズマは、ほくほくした食感で甘味が強い、日本では昔からよく知られている品種です。

べにはるかと同じく、茨城県や千葉県を中心に全国各地で栽培されており、そのほくほくとした食感が活きる天ぷらや、甘みが際立つ焼き芋がおすすめです。

10~11月頃に収穫されますが、1ヵ月程貯蔵して、甘味が増してから出荷するのが一般的です。

鳴門金時

鳴門金時

食感:ほくほく系
甘さ(加熱後):甘さ:★★★☆☆

鳴門金時の品種は高系14号で、徳島県産ブランドのサツマイモ。
徳島県の鳴門海峡をはじめ、水はけの良い砂地畑で作られることから名付けられました。

栗に似たほくほくの食感で、糖度が高め。
煮崩れしにくいので、炊き込みご飯や煮物にも最適です。

8~11月に収穫され、貯蔵して1~3月に食べ頃を迎えます。

べにまさり

べにまさり

食感:しっとり系
甘さ(加熱後):★★★★★

シルクスイートの親であるべにまさり。
水分が多く、ほくほくとねっとりのあいだのしっとりとした食感が特徴で、加熱すると甘味がグンと増します。

茨城県を中心に栽培され、9〜11月が収穫の最盛期です。

シルクスイート

シルクスイート

食感:ねっとり系
甘さ(加熱後):★★★★★

べにはるかの親で、甘味のある「春こがね」と食感がしっとりした「べにまさり」から生まれたシルクスイート。
それぞれの特徴を引き継ぎ、独特の食感と豊かな甘味があります。

茨城県、千葉県などで9〜10月にかけて収穫され、12月頃から出荷が始まります。

安納芋(安納紅)

安納芋

食感:ねっとり系
甘さ(加熱後):★★★★★

安納芋は、種子島の安納地区で栽培されていた在来種の「安納いも」から選抜して栽培されたサツマイモで、「安納紅」とも呼ばれます。
また、安納芋の表皮が白っぽいものを選んで育てられ、より糖度が高い「安納こがね」という品種もあります。

本場・種子島でシェアのほとんどを栽培しており、粘り気のある食感と、焼くと蜜が出るほどの強い甘味が人気となりました。
9月頃から収穫が始まり、貯蔵後の11~2月にかけて出荷されます。

クイックスイート

食感:しっとり系
甘さ(加熱後):★★★★☆

クイックスイートは糖度が高く、水分量が多い人気の品種ですが、その特徴ゆえに長期保存が難しく流通量が限られる希少品種です。

ほかの品種のサツマイモよりも低めの温度(50℃程度)で甘味が増すため、電子レンジで加熱してもおいしくいただけます。
産地は千葉県が中心で、11~2月頃に旬を迎えます。

パープルスイートロード

食感:ほくほく系
甘さ(加熱後):甘さ:★★☆☆☆

果肉が淡い紫色のパープルスイートロードは、スイーツづくりに適した紫芋。
紫芋は一般的なサツマイモより甘味が少ないですが、その中では甘味がある品種で、「紫芋の王様」と呼ばれることもあります。

名産として知られる千葉県を中心に、茨城県などでも栽培されており、収穫~貯蔵後の10〜1月頃に旬を迎えます。

サツマイモは紫芋や紅芋と何が違う?

サツマイモによく似た紫色のイモに、「紫芋」と「紅芋」があります。
見た目はよく似ていますが、どのような点が異なるのでしょうか?

サツマイモとの違いや各々の特徴をご紹介します。

紫芋

紫芋

紫芋はサツマイモの一種。色素成分のポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれていることから、中身が紫色をしています。
アントシアニンには、強い抗酸化作用があり、特に目の健康を維持・改善する効果が期待できます。

紫芋の色を活かしたタルトやチップスなどのお菓子が多く作られており、その印象から甘味が強いイメージがあるかもしれませんが、実際はあっさりした味わいです。

紅芋

紅芋

沖縄を代表する特産品のひとつ、紅芋。見た目はサツマイモと変わりませんが、実はヤムイモの一種で、サツマイモとは種類が異なります。

品種によっては皮が白いものもありますが、中身は紫紅色から紫色。
紫芋よりも甘味があり、お菓子などの加工品のほか、紅芋を砂糖で煮たきんとん風の「ウムニー」や天ぷら、サーターアンダギーなど、沖縄県内では日常的に使用されています。

サツマイモのカロリー、糖質量は?

甘くておいしいサツマイモだからこそ、カロリーや糖質量が気になる人は多いでしょう。

サツマイモのカロリーや糖質量は、ほかのイモ類であるジャガイモや里芋に比べると多く、食べすぎには注意が必要です。
可食部100gあたりのカロリーと糖質量を比較してみましょう。

サツマイモ、ジャガイモ、里芋のカロリーと糖質量比較(可食部100gあたり)

カロリー 糖質量
サツマイモ(皮つき/蒸し) 129kcal 33.7g
サツマイモ(皮なし/焼き) 151kcal 39.0g
ジャガイモ(蒸し) 76kcal 18.1g
里芋(水煮) 52kcal 13.4g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

サツマイモは、蒸した場合に比べて、焼き芋にした場合はカロリーも糖質量も高くなります。
これは、焼くことで水分が蒸発し、栄養価が凝縮されるため。
食べた量が同じでも、焼き芋のほうがカロリー・糖質ともに多く摂取することになります。

また、さつまいもの糖度は、品種によっても異なります。糖度が高い品種は、ここでご紹介したカロリーや糖質量よりも多い可能性が高いため、調理法や食べる量に気をつけてください。

ただ、サツマイモは食物繊維が豊富で、血糖値の急激な上昇が起こりにくく、便秘を改善する効果もあるため、量にさえ注意すればダイエット時にも有効な食材といえます。

さまざまな種類のサツマイモを食べ比べて、お気に入りを見つけよう

サツマイモは、ここでご紹介した品種のほかに、青果用(生食用)だけでも数多くの品種があります。
ほくほく系、ねっとり系など、同じサツマイモでも味や食感は異なりますので、いろいろ食べ比べてお気に入りを見つけてみてください。

めいぶつチョイスでは、全国の生産者がこだわって栽培したさまざまなサツマイモを産地直送でお届けします。
干しいもなどの加工品も取り扱っておりますので、気になる商品がありましたらぜひチェックを!